新潟青陵高校とコグニティ株式会社が手を組んで実施したAIを活用した「対話力」育成プログラムが、教育界で注目を集めています。このプログラムは、特にZ世代の生徒たちが抱える「発言しない」傾向を克服するための新たなアプローチとして、AI技術を駆使して開発されました。

### Z世代のコミュニケーション特性

コグニティが2024年に行った調査によると、Z世代は「自信がないことや準備していない内容には発言しない」という特性があります。この非同期・非対面のやり取りに慣れた世代にとって、突然の対話や議論への参加は心理的なハードルが非常に高いのです。そこで、新潟青陵高校は、通信制課程の開設に向けて、生徒が安心して意見を述べられる環境を整えるために、AIを活用した「対話の型」を学ぶプログラムを導入しました。

### AIによるコミュニケーションの可視化

このプログラムの核心は、AIを用いて生徒のディスカッションデータを分析することです。2025年1月には、教員と生徒によるディスカッションデータをAIが分析し、「良いディスカッション」に見られる構造的特徴を抽出。この結果をもとに、生徒に合わせたフィードバックレポート「COG-DISCUSS」が開発されました。このレポートは、議論の質を数値やグラフで示し、どのように発言を改善すればよいかを具体的に指導します。

### プログラムの成果

実施後の結果は驚くべきものでした。レクチャー前と後での分析によれば、メンバーの発言量が平均83%増加し、話題の発散も大幅に減少しました。特に、ファシリテーターの発言量が減り、各参加メンバーの発言が均等になったことが、議論の質を高めた要因とされています。また、AIによる質的な問いかけも向上し、双方向性が強化されたとのことです。このように、AIを活用した新しい教育手法が、実際に生徒のコミュニケーション能力を向上させることに成功したのです。

### 今後の展望

新潟青陵高校は、このプログラムを通じて、今後さらにコミュニケーションスキルを育成する方針です。物理的な距離があっても、学びの中での「つながり」を大切にし、AIを活用して新たな教育の可能性を切り拓くことを目指しています。コグニティも、教育現場での「伝える力」や「つながる力」を客観的に育てる試みを継続し、今後も多様な現場での成長をサポートしていく意向を示しています。

このプログラムは、単なる教育手法の一つを超え、AI技術を駆使して生徒たちの自信を育て、コミュニケーション能力を強化する新たな未来の教育モデルを示唆しています。新潟青陵高校とコグニティの取り組みは、今後の教育現場においても大いに注目されることでしょう。