最近、エンタメ読書界に新たな風を吹き込む期待の新鋭、新馬場新（しんばんば・あらた）氏の長篇小説『歌はそこに遺された』が、2025年5月30日に徳間書店より発売されるというニュースが飛び込んできました。この作品は、近未来の法廷ミステリーという新たなジャンルに挑み、読者に深い感動を与えることを目指しています。

本作のあらすじは、若きシンガー、荒井海鈴（あらいまりん）が殺された後、彼女の遺作『人魚』が大ヒットするという衝撃的な展開から始まります。生成AIの楽曲が主流となった時代において、生身の人間が作った曲がこれほどまでに注目されることは異例であり、この現象が物語の中心に据えられています。海鈴の殺害容疑者である備藤龍彦（びとうたつひこ）の言動に疑問を抱く東京地検公判検事の堂崎千也（どうざきせんや）が独自の調査を行い、彼女の所属事務所の社長、椎名栄弥（しいなえいや）との接触を試みることで、物語はさらに緊迫感を増していきます。

新馬場新氏は、前作『沈没船で眠りたい』でその実力を証明しており、本作でも期待を裏切らない内容となっています。特に注目すべきは、彼が描く「遺す」というテーマです。著者自身がコメントしているように、「変わりゆく時代における『遺す』という行為の意味を考えるきっかけとなれば幸いです」というメッセージは、現代社会において非常に重要な問いかけです。私たちが生きるこの時代に、何を遺し、どのように生きるべきかを考えさせられる内容となっているのです。

また、著者はゲームのシナリオライターとしても活動しているため、物語の展開やキャラクターの描写において、視覚的なイメージを喚起する力があります。読者は、ストーリーを追いかけながら、まるで自分がその場にいるかのような臨場感を味わうことができるでしょう。

加えて、作品タイトル『歌はそこに遺された』が示す通り、音楽や歌が物語の中心に位置していることも魅力の一つです。歌は感情を表現する手段であり、また人々の心を結びつける力を持っています。海鈴の死後に生まれる歌が、彼女の存在をどのように遺すのか、その過程が読者にとって深い感動を呼び起こすことでしょう。

このように、新馬場新氏の『歌はそこに遺された』は、エモーショナルでありながらも、現代社会の複雑さを描き出した作品です。近未来法廷ミステリーという新しい試みは、読者に新たな視点を提供し、心に響くメッセージを届けてくれること間違いありません。2025年の発売を心待ちにしつつ、この作品がどのような反響を呼ぶのか、楽しみにしています。