アバナード株式会社が発表した独自の生成AIツール「JAL-AI」の開発支援に関するプレスリリースは、企業の業務効率化に向けた新たなステップを示しています。特に、日本航空(JAL)がこのプロジェクトを通じて、社内業務の自動化と効率化を図る姿勢は、今後の企業の運営におけるAI活用の可能性を広げるものです。
JALは2021年から2025年にかけての中期経営計画において、AIやデータを駆使したデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しており、顧客体験の向上を目指しています。この背景には、生成AIを用いた業務改善の必要性があり、特にリスク評価や活用のあり方を検討するワーキンググループを設立して議論が進められています。しかし、RAG(検索拡張生成)の精度向上に課題が生じたため、プロジェクトの見直しを余儀なくされました。
そこでアバナードが新たにパートナーとして選定され、2024年1月からプロジェクトを再スタートさせました。アバナードは、社内ナレッジの検索や文書の自動生成、他システムとのAPI連携を通じて業務効率化を支援し、その成果として「JAL-AI」が完成しました。このツールは、オフィスワークを行う社員だけでなく、タブレットを利用する現場のスタッフにも利用可能で、幅広い業務をサポートします。
特に注目すべき機能は、議事録の自動生成やドライブ内のファイル高度検索機能です。これにより、社員は業務に専念できる時間が増え、業務効率が大幅に向上しています。実際に導入された空港業務向けの「空港JAL-AI」では、スタッフが迅速にお客様からの問い合わせに対応できるようになり、顧客サービスの質も向上しました。実証実験の結果、スタッフの90%以上が回答速度の向上を実感したとのデータもあり、具体的な成果が得られています。
アバナードは、JAL-AIに対して定期的な機能アップデートを行い、AIの回答精度を改善しています。多様なドキュメントを取り込み、課題を見極めながら評価と改善を進めるPDCAサイクルを回していることが、実質100%の間接部門社員利用を実現した要因と考えられます。
今後、JALは「さまざまな業務に使えるAI」の実現を目指し、アバナードとの連携を強化していく方針です。APIを介した業務システムとの連携や社内ポータル情報のクローリングを通じて、さらに多様な業務の効率化を図る計画です。
このように、「JAL-AI」は単なる業務効率化ツールではなく、AIを活用した新しい業務の形を示す、非常に新規性の高いプロダクトです。今後の展開が非常に楽しみですね。