最近、私が非常に興味を惹かれた書籍、『古事記の博物図鑑』が5月23日に発売されることが発表されました。著者は動物学を専攻し、自然番組のディレクターとしても活躍している伊藤弥寿彦氏です。この本は、約1300年前に編纂された日本の古典『古事記』に登場する動植物や鉱物について、現代の視点で探求した内容となっています。
この書籍の特筆すべき点は、伊藤氏自身が撮影した1000点近いビジュアルが掲載されていることで、古代人がどのような自然を体感していたのかを、視覚的に楽しむことができる点です。例えば、ヤマタノオロチの目に似ていた「赤かがち」の実や、アマテラスが身につけていた勾玉の材質など、具体的な情報が豊富に盛り込まれています。
特に面白いのは、著者がクラゲやカイコを育て、ヒルに血を吸わせる実験を行ったという点です。このような体験を通じて、子どもたちや学生たちに「研究する楽しさ」を伝える意図が感じられ、学びの喜びを再認識させてくれます。『古事記』の冒頭には「天地開闢」の描写があり、古代の自然観を現代に引き寄せることで、新たな視点を提供しています。
また、伊藤氏は本居宣長以来の定説を検証し、新たな発見を提示しています。たとえば、スクナビコナに関する記述や、鵝(ひむし)とは何かという問いに対して、様々な説を検討しています。このような独自の解釈や視点は、知的好奇心を刺激し、読者に新たな気づきを与えてくれるでしょう。
『古事記の博物図鑑』は、歴史や自然に興味を持つ人々にとって、必読の書と言えるでしょう。古代日本人の豊かな自然観を感じ取りながら、現代の視点でその意味を考察することができる、非常に魅力的な作品です。ぜひ手に取って、古代の世界に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。